星降る夜空を求めて

星景写真、星野写真の撮影を楽しんでいます

歳差運動と暦の関係

皆さんは、「地球の歳差運動」というのをご存知でしょうか

 

ちょっと難しい話しなのでかなり略して端的に説明しますと、

地球の回転軸(地軸)は地球の公転面に対して約23.5度傾いているそうで、この傾きがあることによって、地球には季節の変化が存在します

そしてこの23.5度の傾きが、約25800年を周期コマの首振り運動をしていると言うのが、地球の歳差運動と言うものです

 かなり略し過ぎに思いますが、、

詳しく知りたい方は以下のサイトで確認して下さ
https://www.nao.ac.jp/faq/a1007.html  国立天文台「歳差ってなに?」

https://ja.wikipedia.org/wiki/歳差  Wikipedia「歳差」

 

 

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AstroArts ステラナビゲータ10より切り出し PSEにて加工

 

上の画像は現在の北の星空に歳差円を描いたものです

地軸はこの円を約25800年かけて1週します

現在はこぐま座ポラリス、10000年後にははくちょう座のデネブ、12000年後にはおよそ歳差円を半周してこと座のベガが北極星の役目をしています

(*実際には各々の恒星にも独自の動きがあり、万年単位の時間では微妙に位置が変わっているかもしれません)

 

上の画像の歳差円の中心は、地球の軌道(公転面)に対して直角な軸が通る点になります

画像から約12000年後こと座のベガが北極星の時代には、だいたい現在の反対側に地軸が傾いていることが見てとれます(ちょっと微妙な表現ですみません)

現在の地軸の傾き23.5度を基準にすると、12000年後には-23.5度という事になります

つまり地球の軌道上のある点で、現在と12000年後を比べると、地軸の傾きがまったく逆になっているという事です

 

そこで、弱い僕の頭でも気が付いたのです

これって季節が逆なんじゃないかな?、、と

 

僕がいくら考えても答えは出ないので、しつこく検索をしてみた結果、以下の事が分かりました

 

 12000年後の夏至の星空

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AstroArts ステラナビゲータ10より

 

天頂付近にカシオペヤ座が輝きます、それを囲むようにケフェウス座アンドロメダ座ペルセウス座が夏の主要な星座達として頭上を占めています、現在の北極星ポラリスも天頂付近で輝きを放っているでしょう

東の空からおおぐま座の北斗七星が昇ってきます

西の空にはペガスス座が沈んでいきます

北の空には、現在の「夏の大三角」が、やや西に傾いて「北の大三角」とでも言うように北の空を占領します、ちなみにはくちょう座のデネブは沈まない周極星となっています

特筆すべきは南の空です

オリオンの三つ星が南の地平ギリギリに姿を見せています

現在、全天で一番明るいおおいぬ座シリウスは、地平下にあって、この頃の日本からは見る事が出来ません

ふたご座・ぎょしゃ座・おうし座が夏至の南の空での主要な星座達になります

 

 

12000年後の冬至の星空

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AstroArts ステラナビゲータ10より

 

天頂付近にはへびつかい座が陣取ります、ヘルクレス座うしかい座・わし座がそれを囲みます

驚くことに、さそり座が南の空の天頂近くまで昇ってきます、その供としていて座やたて座も寄り添っていますので、天の川がきっと素晴らしく輝いている事でしょう

北東の方向から北の大三角(現在の夏の大三角)が昇ってきます

北西の方向へ北斗七星が沈んで行きます

南の空では現在は一部しか見る事の出来ないケンタウルス座が全容をあらわにし、なんと、みなみじゅうじ座南十字星)もその全容を南の地平上に見る事が出来ます

 

 

 やっぱり、夏と冬が逆転している空です

12000年後には夏至に現在の冬の星座を見上げ、冬至に夏の星座を見上げている事になります

でも、なにか引っ掛かります

最初に思ったのは、季節が逆なんじゃないかな、、でした

でも調べてみると、季節の星空が逆なんです

なんか少し納得できませんでした

 

弱い頭をフル回転させて、何んとか朧に理解したんですが

ここにもう一つ、暦のカラクリが入っていたんです

 

現在ほぼ世界中でグレゴリオ暦と言う暦を使っています、いわゆる新暦というやつです

このグレゴリオ暦には、歳差運動が加味されていたんですね、早い話が、、!

 

僕はてっきり1年は地球が軌道(太陽の周りを回る)を1回転する周期(公転)の事だと思い込んでいました

でもそれは誤りだったんです(いや全くの誤りではないのですが、、)

 

普通、1回転(1年)は0地点からスタートして0地点へ360度回って戻ってきたことを表します

恒星を基準にして地球の回転を測った場合の1年(公転)はこれに当たります、これを恒星年と言います

 

でも僕達が使っている暦は、これに歳差を加味して1年の1周を決めているんです

 

つまり春分点から次の春分点までを1年としているんです、これを太陽年もしくは回帰年といいます

 

歳差運動により分点や至点(春分点秋分点夏至点・冬至点)は自転軸の動きに合わせて天球上を移動していきます

春分点をスタートして一年を回り始めた太陽は 歳差運動で天球が移動した分、恒星年よりも早く次の春分点に戻ってきます

そこに星の位置や地球の公転運動との関係はありません

 

その時間差はおよそ20分

 

つまり、地球の公転周期よりも僕たちが使っている暦(グレゴリオ暦)は20分早く1年が経つという事になります

 

上の12000年後の星空の話に戻りますが

20分、たかだか20分ですが、12000年積み重なると24万分になります

24万分を日にちに直すと172日、大雑把に半年となります

 つまり、1年で20分の歳差運動のずれが、12000年後には半年の星空の移動となり、夏冬の星座が逆転してしまうという事なのです

 

 

総括

 

肝は、僕達が何気なく使っている暦のグレゴリオ暦だったんですね、カレンダー通りに季節が進み、1年を繰り返す、何百年も何千年も何万年も

その間に星座は天球を移動し、季節と星座の位置関係は徐々に徐々にずれていく

 

グレゴリオ暦は1582年2月24日にローマ教皇グレゴリウス13世がユリウス暦を改良して制定した暦法です

1582年以前から、こんな事が解明されていたのは驚き以外の何ものでもありません

 

いや、

それよりもはるかに時代を遡り、紀元前2世紀学者ピッパルコスが、すでに歳差運動を発見していたといわれています

 

正確な暦を作るために天文学が生まれ発達してきました

そのひとつの結果が歳差運動の発見なのでしょう

 

正確な観測機器も時計もなかった時代の、先人たちの知恵と執念には驚きとともに畏敬の念を抱かざるを得ません