星降る夜空を求めて

星景写真、星野写真の撮影を楽しんでいます

天体写真撮影 今昔

天体写真におけるデジタル技術の恩恵は、計り知れないものがあると思います

中学生の頃の天文ガイドに掲載されていた天体写真や、その当時の星雲星団ガイドブック的な本をいま見返すと、え?、と思います

 

逆に現在は、デジタル技術の恩恵を多大に受け、一般アマチュアが、恐ろしく綺麗な天体写真を(簡単ではないのですが)撮れてしまう時代になりました

 

昔の苦労を否定はしませんし、それはそれで楽しかったり、充実感を感じていたりしたのだと思いますが、この時代の技術にどっぷり浸かり、過去の写真と今の写真を見比べてしまうと、あの苦労は何だったのかなと思うところもあります

ちょっと滑稽で、「くすっ」としてしまうんですよね

 

撮影媒体がフィルムからフォトダイオードセンサーにとって代わってから久しいです

一般の撮影ではいまだにフィルムにこだわりを持ち続けている人たちがいますし、それは僕にも理解できます

でもこと天体写真に関しては、ほぼ全ての人たちがデジタルに移行し、その利便性から既に抜け出すことはできないほど、撮影・現像技術が確立されつつあります

 

フィルム時代の撮影はどうだったのか、少し思い出しながら回顧してみます

 

フィルムとセンサー

僕が天体の写真を撮りたいと思った当時、使用フィルムの主力品はコダック社のトライエックスパン(白黒フィルム)でした、たしかASA400(当時の感度表示、アーサーと読む、今のISOと同等)でした

このフィルムの感度を上げるために、密閉した容器にフィルムを入れ水素を満たし放置して増感する「水素増感装置」などと言う機材もありました(ついこの間、ヤフオクで出品されていてびっくりしました)し、本露光前にフラッシュなどで微弱な光を与えてフィルム面を露光しやすくするなどと言った、荒っぽい技もありました

 サクラカラーから、ASA1600のカラーフィルム(ネガ)が発売された時は衝撃的で、みなこぞってこのフィルムを使いました、その後ASA3600まで感度が上がりましたが、粒子が荒く、好みが別れるところだったでしょう

 

フィルムは、パトローネと言う入物に収納されており、中で丸まって入っています

撮影のためカメラ内に充填されると、癖がついて浮き上がり平坦性が保たれません

そこで、カメラの裏蓋に吸引装置を付け、フィルムの平坦性を確保するような機構もありました

 

一番の問題はピントチェックでした

ナイフエッジなどと言うピント確認ツールを使いピント出しをしていたのですが、コレがまた大変で、星が右から消えたか左から消えたか、、などと暗闇の中でぶつぶつ言いながら、最終的には感と経験に頼る一発勝負的なピント合わせでした

金銭的に余裕がある人は、このピント合わせのために、同じカメラボディを2台用意して、1台はピント確認用に裏蓋を外し、ナイフエッジを使ってピントを合わせた後、フィルムの装填されたもう1台のボディで本撮影をしたなんて話も聞いています

 

結局のところ、仕上がりを見て、一喜一憂する博打のような撮影だったんですね

 

現在はどうでしょう

ISO感度・ホワイトバランスは好みで設定

ピントはライブビューを見ながらリアルに確認できます

たった2行で終わりです、はい

 

 

ガイド撮影

赤道儀の極軸を合わせるのは、今も昔も変わりありません

極軸望遠鏡に北極星を導入して、その時の時角で合わせていきます

最近、QHY社から極軸合わせの支援ツールが発売されましたが、とても良い製品で助かっていますが、やることは基本的には同じです

 

撮影に入った後のガイドなのですが、昔は撮影鏡にガイド鏡を同架して、十字線レクチルの入ったガイド用アイピースを監視しながら、赤道儀のコントローラを手動で東西南北の微調整をする半自動ガイドなどと言うガイド撮影が主流でした

普通の神経を持った人間は、たぶん5分から10分が限界なのではないでしょうか

中には30分以上OKと言う強者の話も聞いたことがありますが、映画プロメテウスに登場するアンドロイドのデイビッドのように正確無比なんでしょうか、それとも思い切りいい加減だったのか、その真相は定かではありませんが、、

 

今は、オートガイダーなる機器があり、すべて機械に任せきりです

自分の環境に適応すべきパラメータを探る手間はありますが、一度要領を習得してしまえば、ガイド撮影が始まったのちは、30分でも1時間でもほったらかしが現状です

まさに小型のデイビッドですね

 

 時代は変わったんだなと、思う瞬間です

 

コンポジット、現像処理

現在は天体写真の現像でコンポジットは当たり前なんですが、フィルム時代にもコンポジットは存在していたのをご存知でしょうか

そう、まさしくフィルムを重ね合わせ焼き付けを行うんです

そのままコンポジット処理と言っていましたが、主に惑星の写真に利用されていました

カラーフィルムの現像はアマチュアには難しいので、やはり白黒フィルムが限界だったんでしょうね

 

最初にデジタルデータのコンポジットを考えた人は、このフィルムのコンポジットからヒントを得たのでしょうね、その当時レイヤーを重ね合わせてここまで効果が出ると誰が想像したでしょうか、、、

今の撮影は、数分の露光写真を何枚も撮り、プログラム上でコンポジットして、SN比を稼ぐ現像のやり方が確立されています

途中で雲が出たりガイドミスで失敗したカットがあっても、全てが無駄にはなりません

成功したカットのみを使用して、コンポジットすればOKなんです

 

昔は何しろ1発勝負、10分20分、頑張って30分、ガイド鏡を監視して、うまく撮影できたかどうか、ラボから現像が上がってくるのをワクワクしながら待ったものでした

 

 

総括

こうやって記していると、なんだか昔のほうが楽しかったような気になってきましたが、快適な事を知ってしまうと後戻りはできないように、天体写真も今の技術を大いに活用して今後も伸ばしていくしかないんでしょう

フィルム時代のあの楽しさは、僕の中では一種の宝物なんですよね